令和元年 神無月歌会

十月も半ばを過ぎると例年ならば、澄んだ秋空のもとあちらこちらでの行楽の様子が報道されるのですが、今年は続けて襲来した台風の豪雨により、目を覆うばかりの惨状が画面を埋め尽くしました。できる限り早く被災地の方々が穏やかな日常を取り戻されることを切に祈るばかりです。
いつもは四季の移ろいを楽しみ短歌の着想となる大自然も、その計り知れないエネルギーの前に、人は全く無力であることを思い知らされます。ゆめゆめ傲ることなく、先ずは自然への感謝の気持ちを忘れてはならないのです。

今年新しく青虹三重支部にお仲間入りされたお二人のお歌が、初めて新青虹十月号に掲載されました。

・立夏にも曇れるそらに気もそぞろ令和はじめの十五夜近き(中川寿子)

・ちぎり絵のあぢさゐ飾れる窓の見ゆ遠山並の蒼く澄みつつ(児島靖子)

支部の歌会にお持ちになった未完の歌稿が、先輩方のアドバイスにより素敵な処女作となりました。

 

その他誌上より

・金堂のみ柱にふれ天平の千とせ百とせ風とたちつつ(金丸満智子)

・幼日の姉の日記に何気なく祖父母の言葉やさしくのこる(井口慎子)

・一日の出来ごと綴り明日にとつなぐ日誌のいのち見るなり(山本浩子)

・踊り終へ夜の賑はひ消え去りて朝光なき提灯ゆるる(中川りゅう)

・雨やまぬ海の灯しに闇よりもまさりて黒き鵜の羽根ひろぐ(中世古悦子)

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