長月歌会[令和三年]

古今和歌集、『秋立つ日よめる』の詞書に始まる、藤原敏行朝臣のお歌

・秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる

きっと記憶されている方も多いのではないでしょうか。暦の上での立秋は8月初旬ですが、毎年9月にはいってもまだまだ残暑は厳しく、寝苦しい日が続くのが常です。ところが昼間は30度を超える猛暑日でも、ここ2、3日、夜になるとひんやりとした秋風が流れてきて、違和感を覚えながらも、まさに歌の通りだなと思い出されました。清々しく朝を迎えられるのは嬉しい限りですが、コロナ感染が衰えを見せない中、自然がまたつむじを曲げたのではないかと不安の増すこの頃です!

さて今月の歌会は、現在ご療養中の水本編集長の寄稿された『小林秀雄の短歌観』の紹介
文に、大いに盛り上がりました!抜粋しますと、
・近頃の歌壇で、伝統的な格調の正しい歌をよしとするものと、自由に形式を破って歌はうとする人とが互いに相争ってゐる様に見受けます。・・・僕の好むところは伝統派です。・・・短歌は、今日の文学的表現のうち最も伝統的な表現形式であるといふ以外に短歌の特殊性があらうとも思えませぬ。・・・・
文語、旧仮名遣いを軸に、音調を大切にしながら今を詠み継ないでいこうとする、短歌結社青虹の短歌を全面肯定する文章に、よくぞ言ってくれました!!と。

[8月号誌上より]

・ふるさとを離れ服縫ふむすめ等の春を紅さすことも覚えき(金丸満智子)

・花のかげ隣の花に映しつつチューリップとりどり夕陽にゆらぐ(井口慎子)

・梅雨なかの奈良仏像にまみえてはしばし安堵のひとときのあり(山本浩子)

・幼どち花を並べて笑みかはす筵の上の時うつろひぬ(中川りゅう)

・遠住める嫁送りきしふかひれの肉まんの味こよなく旨し(後藤まゆみ)

・露地をゆく夫の項に刻まるる老いをうべなひ古希の茶なさむ(中世古悦子)

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