家の近くを流れる「たこち川」沿いを百本ほどの桜の花が満開となりました。長男が小学校入学の頃、まだ裸ん坊のか細い苗が間隔をとって点々と植えられた時は、今のような見事な桜並木になることなど想像もできませんでしたが、30年余り、花を咲かせ、散り、枝を伸ばしながら確実に年を重ねて、溜め息の出るばかりの景観を作り上げました。コロナ感染に翻弄され、ずるずると2度目の夏を迎えようとしている私達人類も、自然の営みのようにもっとシンプルになればよいのではないでしょうか。
3月の支部会は久し振りに全員が顔をそろえました。短歌に親しむという目的をもって共有する数時間はそれぞれの楽しい時となっている様です。
米寿を迎えられた中川さんは、これまでにやったことのない事に挑戦したいと3年前に入会された、とても気骨のあるおばあちゃまです。まだまだ五七五七七の語調に整えることも難しいご様子ですが、毎回新鮮なお歌を10首携えて参加されます。この日は、お掃除を頑張りすぎて体中あちこち痛むと元気なく、とても辛そうに入ってこられました。徐々に顔に明るさが戻ってきたので、大丈夫ですか?とお尋ねすると「短歌は私の妙薬です!!」と。一同感嘆の声をあげた瞬間でした。
「3月号誌上より」
・冬晴れの縁のぬくみにまどろみて今は世に亡き人と睦みき(金丸満智子)
・夜の雪うつすら積もり音もなき大晦の朝冷えつきぬ(山本浩子)
・慎ましく生くるを良しと語りあひ香る林檎を食めば安けし(中川りゅう)
・龍宮と地球行き来すはやぶさに託す令和の大き夢あり(中川寿子)
・秋風に稲穂重たくさやぎつつパッチワークと見ゆる里なり(後藤まゆみ)
・中空の雲のすき間ゆさしきたる陽に包まれて十字架光る(中世古悦子)
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