睦月歌会[令和三年]

十数年も前のことです。お友達の紹介で隣町のお茶の先生のお宅のお初釜にお招きいただきました。晴れの茶会とあって出されたお道具はみな立派で、美術館のガラスケースにに並べられるような逸品もあり、異次元のお茶会を存分に楽しませていただきました。後ろ髪を引かれる思いで退出しようとした時、庭の隅に何とも儚げに咲くうす紫の花が目に留まりました。伺えば寒あやめという花でした。なるほど花の形はあやめにそっくりです。早速無理を言って株を分けていただき、今では我が庭のあちらこちらに増えています。毎年雪の散らつく中、細く弱々しくこの花の咲き始めるのを見ると、どうしてこの季節を選んだの?!と思わず問いかけてしまいます。この冬も寒にふさわしく、肉厚の濃い紅色に咲く藪椿のそばで、なよなよと毎日数輪の花を咲かせています。自然は本当に不思議に満ちています!いつ終わるのか先の見えない混沌とした現実ですが、真実を見極め楽しく明日を迎えましょう!!

1月の支部会は、コロナ感染の拡大を考慮して休会と致しました。

<1月号誌上より>

・生きのこる蜘蛛月の夜をたるむ巣に金木犀の香とひそみつつ(金丸満智子)

・生家より心離れし若き日か今は聞きたきこと多くあり(井口慎子)

・たつぷりと秋の日及ぶガラス戸の影なす椅子に母の坐れる(山本浩子)

・十五夜の月影閨に射し入りて目覚めしままに去りし人思ふ(中川りゅう)

・コロナ禍の今宵は月に祈りつつ団子すすきを飾らむとする(中川寿子)

・我祝ふディナー鮑の前菜と友の変わらぬ笑みにはじまる(児島靖子)

・草茂るあき地のすみに彼岸花空の高さを楽しむと見ゆ(後藤まゆみ)

・花すがた鮮やかなりし檜扇の実は漆黒に秋をさびしむ(中世古悦子)

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