長月歌会【令和二年】

熱暑の夏とは打って変わって9月に入ると,立て続けに大きな台風が接近し朝鮮半島を
直撃しました。幸い日本列島には大した影響はなく、清々しい秋を置き土産に去ってくれ
ました。
お陰で我が家のお花畑には、夏から開き始めた秋桜、桔梗、女郎花に加え、萩、秋海棠
藤袴,秋明菊、吾亦紅などなど、それぞれに奥ゆかしい花をやさしく開き、秋の月が満ち
るにつけて、土手の尾花も黄金の穂を広げ始めました。そして雨あとの畑に蒔いた数種の
野菜の種も、小さいながらそれらしい形を見せています。
まだまだ終息の望めないコロナ禍ですが、澄み切った秋の空に目を向ければ、沈みがち
な心も解き放たれるようです。この日は三重支部の方々も、秋に思いを寄せたお歌を携え
お集まりいただきました。

<9月号誌上より>

・耳奥のかゆみに目覚め東雲の遠あかるみに二度寝たのしむ(金丸満智子)

・群れ咲ける浜ひるがほの一花を摘めば若き日また蘇る(井口慎子)

・コロナ禍の自粛に慣れて半年のテレビ暮らしに楽しみあらす(山本浩子)

・日蝕の気配近づきうすき陽の空に白しら蝶舞ひにけり(中川りゅう)

・のら猫の命ありしやゆるり来てひと声のみに又去りゆきぬ(中川寿子)

・暑ささへ思ふことなく夫逝きし遠き夏の日また巡り来ぬ(児島靖子)

・裏庭の白きあぢさゐ露ながら母の写真へ一輪供ふ(後藤まゆみ)

・水無月の朝の光に水草をそと動かして睡蓮ひらく(中世古悦子)

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