コロナ禍に

三重県は自粛徹底のかいあってか、いわゆる田舎!!のせいなのか、コロナ感染者は最小限に留まり、学校、公の機関なども6月に向けて徐々に日常をとり戻しつつあります。

三重支部の歌会は2カ月間休会となりましたが、ようやく6月からは再開の予定です。私は禁足の中、庭の草引きや野菜畑の整備など、違った面で忙しく過ごしておりましたが、月例の詠草の種に困り先日思い切って歌のお仲間と吟行に出かけました。

行く先は倭建命の陵墓のある能褒野神社と、倭建命の軍で使った笠を祀る加佐登神社です。近くに住みながら初めての参詣でした。倭建命の御陵と死後その御霊が白鳥となって飛び立った跡という白鳥塚は、県内含め他県にも遺されていますが、古事記や日本書紀に記されている能褒野というのは、この地に間違いないようです。

御陵は訪う人もわずかで、正にしたたるような新緑に護られていました。記紀に遺る出来事に想いを馳せ、古い碑に刻まれた文字を一字一字確かめながら神代と現代の交錯する不思議なひと時を過ごしました。6月の支部会にはそんな事も話題に、久しぶりに皆様との会話を楽しみたいと思います。

<5月号誌上より>

・ひよりにも杉の下蔭ゆく称宜の春の木沓の寒くひびける(金丸満智子)

・望月の冴え渡りけるひと夜明け梅二三輪ほの白く見ゆ(井口慎子)

・リュウグウより隼秋に帰還すと聞けば昴るわが想ひなり(山本浩子)

・川水を羽音に高く飛びたつる鷺の翼のしなやかにあり(中川りゅう)

・わが声に応えて鳴きし野良猫のしら梅の根をふみて去りゆく(中川寿子)

・竹林の天に向ひて揺れあそび傾ける日に葉むらひからす(後藤まゆみ)

・月ヶ瀬の早咲き梅にいやさるる林をひとり回り道もす(児島靖子)

・白木蓮の固き莟にいつよりか梅のひとひら涸びゐるなり(中世古悦子)

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