令和元年 霜月歌会

朝を迎える度、紅葉は色を深め、季節は確実に冬へと歩を進めているようです。

歌は先づ自然詠からと言われますが、11月号掲載の新入社のお二人の下記のお歌は、ご家族の触れ合いの中から生まれたものです。

・病得て三十五歳に逝きたまふ夫の若さを偲ぶ夏なり(児島靖子)

・リボンせし孫の写真に顔ゆるむ酷暑の爺の誕生日なり(後藤まゆみ)

家族にはそれぞれ一員としての立ち位置があり、家庭によって千差万別です。二首ともにじんわりと心暖まるお歌です。そして詠まれたお歌はそのまま家族の記録として蓄えられて行くのです。

 

11月号誌上より

・み仏の道うたがはぬ寺内衆の朝の偈軒の蜘蛛をはしらす(金丸満智子)

・鉢に浮く睡蓮小さき花にふれ訪へば八十路の師の声すずし(井口慎子)

・ロシアとふ大地に生きし人々を称へて白樺日誌終はりぬ(山本浩子)

・風死する日を過ごしかね夕待てば光も薄き月の昇りぬ(中川りゅう)

・稔り田ゆ真白き首を伸ばしては雷雲見上ぐる鷺役者めき(中世古悦子)

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