令和元年 葉月歌会

処暑が過ぎさすがに朝夕は凌ぎやすくなりましたが日中はまだまだ冷房が欠かせません。また時折降る強い雨は雷を伴って、外出は空と相談しながらというこの頃です。

今月の歌会は新青虹九月号の巻頭、代表の川口学同人のお歌「山の風」に学びました。

・山風にさらに赤らむ渋柿のかしこく見えて揺るるときなし

・一山のところどころの渋柿のしづかに熟れてもの言はぬなり

また連載中の「歌のすすめ方」には難しそうなことは述べずにやさしい言葉遣いの内側にあるものが芸であって、内面にあるものをあからさまに露骨に述べたるものではい。自在の空間を得て奔放になることが大切である。吾を忘れて夢をみるごとく、いつまでも青年のように何かを追い求めてゆくのである。という記述があります。この様な理念のもとに、わかり易い表現にもかかわらず、後に何かしら高揚感の残る魅力的なお歌ができるのですね。年を重ねられても益々若々しいお歌を、誌上にてこれからも楽しませていただきたいと思います。

 

九月号誌上より

・海ふかく眠る大和や三千の魂と自在に天翔けてあれ(金丸満智子)

・ガンジスに遺灰を流す放映の朝なり心なほ洗はれず(井口慎子)

・数多なる引揚げの人迎へにし舞鶴港に夏の灯ともる(山本浩子)

・早稲田越え吹き来る風は頬撫でて憂きこと消ゆる皐月ひと日の(中川りゅう)

・空いろの特急「しまかぜ」神ゐます杜へと梅雨の鉄路きします(中世古悦子)

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