秋の気配

依然として日中の暑さは去りませんが、陽が落ちればさすがにひんやりとして、肌のほてりを和らげてくれます。

草むらの虫たちも、いよいよ主役となる夕に備へ、翅の磨きに余念がないようです。

「新青虹9月号のお歌より」

オトシブミという昆虫をご存知ですか。体長1センチほどで、雌はクヌギやナラの葉を切って、その中に卵を包み込んで落とします。そして幼虫はその葉を食べながら育ちます。葉脈に直角の軸で葉を巻き上げて落とすその形が、公に言えないことを記して、わざと通路などに落としておく文書の「落し文」に似ていることから名付けられました。ご紹介するのは、この落し文に何やら深い想いを込められたお歌です。

・きっちりと栗の青葉に包まれて命ぬくまぬ落し文なり

・落し文栗の木下に返し来し身の空白のさやけき宵なり

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