文月近畿支社会[令和四年]

コロナ感染の第7波が本格化し始める中、5月に続いて水本先生にもご出席いただきました。8月より新青虹の編集長に復帰されたばかりですし、この暑さの中、奈良よりお越しいただくのは申し訳なく、ためらいもありましたが、歌会は滞りなく進み、大切な時間を無駄にしないよう、皆ご指導に耳を傾けました。

支社の方々にあらかじめ提出いただいた自由詠一首をまとめ、お渡ししている詠草集を順に鑑賞していきます。面白い発想のお歌も多々あり。自分の視点の狭さを思い知らされますが、作者本人の思いを考慮の上に、添削いただいた歌は、やはり無駄がなく調べも整っています。

今回出詠下さった方々の、原作歌と添削後の歌をご紹介致します。

・白鷺のからだ半分田植田に埋もれて見ゆる早い梅雨明け (中村智恵子)
・白鷺のすがた半ばは青き田に埋るる朝をはや梅雨明けす

・濡れながら子ら逃げ惑ふ水鉄砲とうもろこしの青青と伸ぶ (青山玲子)
・濡れながら水鉄砲に逃げ惑ふ子らにもろこし丈青くあり

・亡き夫の写真窓辺に置きし友昼餉の卓に潮の香かをる (後藤まゆみ)
・亡き夫の写真窓辺に置く友の昼餉の貝に潮の香りす

・忌明けして母屋の整理に汗の身の散水ホース使はれずあり (山本浩子)
・忌明けして母屋の整理に汗にじみ散水ホース使はれずあり

・しとど濡れ触れなば葉より玉と落つ蓮の蕾はまだ閉ぢたまま (中川りゅう)
・朝の露触るれば葉より玉と落ち蓮の蕾はまだひそかなり

・近づくも後退りすも釈迦牟尼は伏し目ながらに我を逸さず (中世古悦子)
・近づくも後退りすも大ひなる釈迦は伏し目に我を逸さず

・蚕時雨とふ音たて蚕の桑食むを見守りてゐし祖母の目ありき (井口慎子)
(こしぐれ)
・蚕時雨といはれ蚕の桑食むを見守りてゐし祖母の目細し

・西行は出家の旅に木曽殿の勢威末路を和歌にとぶらふ (金丸満智子)
・西行は出家の旅に木曽殿の末路を詠みて身は若かりき

・うぐひすの返り音さゆる初夏の朝より炭酸煎餅くらふ (水本協一)

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