弥生歌会[令和四年]

青虹社では永年にわたり、毎年春と秋の一泊二日の全国大会と三地区に分けての日帰りの準大会が、各支社の持ち回りで、名所旧跡近くや風光明媚な会場が選ばれ、催されてきました。ですが近年。社友の方々の高齢化によって、遠い会場への参加が難儀という声があがり、やむなく秋の全国大会と春の準大会の二回に縮小となりました。しかしそれも、足掛け三年に及ぶ新型コロナ感染のため、中止を余儀なくされています。

今年の春の準大会も、東地区は中止となりましたが、私たちの中部地区は、名古屋のあゆち支社の野地同人にお骨折りをいただき、『あゆちの会』と銘打って3月26日、名古屋市市政資料館にて開催されました。折良く全国的にコロナの蔓延防止措置は解除となりましたが、やはり感染への不安は拭いきれず、出席者数はいつもを下回りました。ですが久しぶりに、水本編集長はじめ各支社の皆さまのお元気そうなお顔を拝見でき、とても勇気付けられました。

開会の挨拶の中で仰られた、『一方通行の誌上評とは違った、顔を突き合わせての歌会の進展を楽しみましょう!』という野地同人のお言葉通り、それぞれの歌への感じ方は思いの外多様で、土地柄や年齢のちがいも相まって、おもわぬ解釈に驚いたり納得したり、六時間に及ぶ歌会も瞬く過ぎ、とても充実した密度の濃いものとなりました!!懸念なく全国大会の開催される日が来る事を祈るばかりです。

 

[三月号誌上より]

・色ふかき紅葉にのぼる坂道に若き日の脚ひたに恋ひつつ(金丸満智子)

・クリスマス華やぎもなく夜の更けてせめて門灯明るく点す(井口慎子)

・陽の薄き冬の浜辺に時をかけ餌を啄む鳥見て足らふ(中川りゅう)

・うぶすなに参れる人もしづまりて霰の音はさやかに聞ゆ(山本浩子)

(たいせつ)
・大雪の夕陽うけつつ満天星の赤くマリアの鐘響くなり(後藤まゆみ)

・朽ちし船舳先は沖へ物語りめくも動かぬ冬の浜なり(中世古悦子)

・古今集写本の系譜しらべゐる図書館のをか虹としぐるる(水本協一)

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